せきらら留学生活日記

留学先・フランスでの様子と夢の美大生ライフを綴ります。

アーティストへの第一歩

Salut !

とうとう本日。大嫌いだったけど大好きになった美術の授業が終わりました。

寝不足だったので、授業後にもらったお酒数杯飲んだだけですっかり酔っ払ってしまったのですが、このまま、今の気持ちを失わないうちに綴りたいと思います。

酔っ払いの感傷にしばしお付き合いください。

 

最後の授業、いえ、正確には最後の作品はアニメーションにすると結構前から決めており、最終的に、本当に本当にやり遂げました。ものすごい達成感でした。

テーマは「TALK TALK

曖昧ですが、まさに私にぴったりのテーマでした。日本ではフランス言語に興味があり、研究を進めていたので、まさかこうも良い具合に素敵なテーマが最後に回ってくるとは思っても見ませんでした。ですが、これが大きな落とし穴でした。近すぎるゆえに、なおかつ研究対象という理由もあって、客観的にしかテーマを見れず、なかなか表現したいものにたどり着けずにいました。しかし。私は思い出したんです。過去のとある経験を。

ぜひ下の記事を読んでいただきたいです。

 

franceetmoi.hatenablog.com

 

これぞ、まさに最後のテーマにふさわしいと思いました。

自分を守るはずの言語が、ときに人を傷つけるという現実。とりわけ、巻き込まれたくない衝動にかられる私、私だけじゃないかもしれない多くの人が、誰かを傷つけている現状を前にして「何もしない」ということを無意識のうちにしたことがあるのではないでしょうか。

私はこれを、子供向けのアニメーションとして制作することを決めました。

登場人物は亀と彼岸花、そして炎です。

話の内容をさっくり説明してしまうと、大きな甲羅を持った亀は常に自分を守り長く生きてきたけど、ある日彼岸花に出会い、その考えが大きく変わるということです。

友達の彼岸花が炎に焼かれる様を見て、何もできずにいる亀。これは、私です。

最後に写したシーン、それは彼岸花を失った後に庭を守り続け、守り主となった亀の姿です。これは私がなりたいもの。

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今回ブログに自分自身のイラストを載せるのはほぼ初めてに近いのですが、来た時よりずっとのびのびと絵を描けるようになりました。

昔の私にはこんなことできなかったでしょう。こだわりが強いと言い訳をしていましたがそうではありません。単純に失敗を恐れていたのです。

最後、作品を終えて思うのは、失敗は失敗じゃない。

ありのままの姿って、とても人間味があって好きです。そもそも、私が求めていた完璧とは一体なんだったのでしょうか。簡潔に言ってしまえば、誰から見ても隙のない、丁寧なイラストだということです。でもこのやり方は、どうにも私の性には会いませんでした。

絵画を基礎からやることはもちろん大切です。ですが、デッサン力だけでは、欧米の現代アートには太刀打ちができません。最後まで、先生がべた褒めすることはありませんでしたが、でもいつも言ってくれたのは「イラストに何の問題もない」ということでした。この言葉がどれほど私を突き動かしたことか。それは私自身にしか測れないのですが、自分のイラストに、全く自信が持てず、デッサンの基礎もなくいつも誰かのモノマネばかりで自分の絵を見失っていた私には、本当に救いの言葉のように思えました。大げさかもしれませんが、真面目にそう思います。

実は最後のアニメーション、私自身の声でナレーションをしたのですが、もうひとつ嬉しかったことがあって、それは演技が上手いと言われたことでした。いろんなことに手を出しているのですが総括すると、私は物語を作ることが好き、絵を描くことが好き、演技をすることが好きだということです。

そしたらもうアニメーション作るしかないですよね笑 だからこの授業の締めとして、この作品を残すことができてよかったです。

 

帰り際、友人にこんなことを尋ねられました

「日本帰っても続けるんだよね?」

答えはただ一つ、

 

「Oui!」

 

心は晴れやかでした。だけど少し泣きそうになったり。でも、私が自分の向き合い続ける限り、芸術と向き合い続ける限り、いつかまた恩師であるラニオル先生にお会いできるかもしれません。それは直接、ではなく作品を通してかもしれない。

兎にも角にも、これは私にとって終わりじゃありません。留学生活が踏み台となって動き始めた大きな一歩です。芸大に通わずとも、誰しも審美学をと自己を、そして何かを表現したい欲があれば、誰にでも美術はできます。周りのクラスメートは確かにすごいかもしれない。でもそれはその人の世界観であって、彼らが見る私の作品もまたそう見えているのだと思う。

いつか私は絵本を書きます。

そしていつかそれをアニメーションにします。

このいつかが近いものになるよう、帰国後も、ラニオル先生に教わった感覚を忘れずに私は私の分身をこれからもたくさん生み出していこうと思います。

 

Merci beaucoup M.Laniol.

Un jour, je vais vous revoir en tant qu'une illustrateur. A bientôt !!